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不眠治療の12のポイント
満足できる睡眠は、心身の疲労を解消し、充実した毎日を謳歌するために欠かせないものです。
質の高い睡眠をとることで、日中に本来の集中力や思考力などを発揮して活動することができます。
一方で、不眠症を治療せずにしておくと、日中の眠気だけでなく、精神疾患のリスクや免疫力の低下による怪我や病気になる可能性の増加といった悪影響も考えられます。
そこで、本項では不眠症を治療するための12の方法についてご紹介していきます。不眠症に悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
不眠症を治療するために必要なこととは?
不眠症とは、「なんらかの要因によって睡眠が阻害され、日常生活に様々な悪影響を与える睡眠障害」のことをいいます。
不眠症には次の4つの種類があります。
入眠障害:夜遅くまでなかなか寝つけない
中途覚醒:夜中に何度も目が覚めてしまって十分な睡眠がとれない
早朝覚醒:眠たいのに早朝に目が覚めてしまう
熟睡障害:長時間の睡眠時間にも関わらず寝た気がしない
これらの不眠症に陥ると、心身に疲労が蓄積されていってしまいます。
不眠症の症状が続くと、日常生活に次のような悪影響が及びます。
・日中に異常な眠気が襲ってくる ・起床時に頭痛がおこる
・吐き気がおきる ・思考力の低下がおこる
・気憶力の低下がおこる ・集中力が低下する
・些細なことでカッとなりやすくなる ・急に焦燥感に駆られることがある
・免疫力が低下する ・肌質が悪化する
このような悪影響の症状が深刻になる前に、不眠症を治療することが必要になります。
不眠症を治療する手順
不眠症を治療するためには、「睡眠薬の服用を考える前に、睡眠の質を上げる工夫をすること」が大切になります。具体的には、次の手順で不眠症の治療にあたることになります。
1、睡眠の質を改善する工夫を行う
2、眠りに効果的なサプリメントを利用する
3、睡眠薬を用いて睡眠を改善する
それでは、睡眠の質を高め、不眠症を治療するための方法について、次の項で見ていきましょう。
不眠症を治療するための12の方法
不眠症を治療し、熟睡を得るためには、「就寝前にリラックスした状態になり、ストンと深い眠りに落ちること」が大切になります。
日常生活においては、脳は緊張した状態にあります。その状態では、気が張ってしまい、なかなか寝つくことができないばかりか、深い睡眠をとることもできません。
そのため、就寝前にリラックスするように工夫を行っていくことで、徐々にまどろんだ状態になっていき、深い睡眠に落ちていくことができるようになるのです。
では、就寝前にリラックス状態になり、不眠を治療するための12の方法について一つずつ見ていきましょう。
1:就寝前に20分程度の半身浴を行う
就寝前に20分程度の半身浴を行うことで、「体の深部体温を温め、リラックスした状態なること」ができます。
半身浴を行う場合は次の点を守るようにしましょう。
・温度は38~40度程度が適温
・時間は20分程度でのぼせないようにする
・お気に入りの入浴剤を利用して、リラックスできる香りを堪能するとより効果的
・半身浴によって一時的に深部体温が上がり、その後下がっていく時に眠気が生じる
特に、就寝1時間前に半身浴を行うと、寝たい時に眠気を得ることができます。
2:規則正しい生活習慣を身につけ、体内リズムを整える
体内リズムを整えることで、「朝や昼は集中力を、夜は自然な眠気が生じるリズム」が得られます。
体には体内リズムがあります。体内リズムは、日中の集中力やエネルギー、夜の眠気にも関係があり、正常な体内リズムに整えることで、夜の時間帯に自然な眠気が促されます。
体内リズムを整えるためには、次の3つの習慣を取り入れるようにしましょう。
・朝、目が覚めたらすぐに20分以上太陽の光を浴びる
・起床時間を毎日一定にする
・食事を3食毎日同じ時間にとる
朝に太陽の光を浴びることで、セロトニンという脳を覚醒させるホルモンが分泌されます。このセロトニンが分泌されてから14~16時間後に、メラトニンという自然な眠気を生じるホルモンが分泌され、その3時間以内に就寝することで熟睡を得やすいと言われています。
3:脳に刺激を与える要素を避ける
不眠症を治療するためには、「脳に刺激を与える要素を避け、リラックス状態を保つこと」が大切になります。
現代は特にパソコンやスマートフォンの普及によりライフスタイルが大きく変化し、不眠の症状を抱える人が多くなりました。不眠症を治療するためには、意識的に脳に刺激を与える要素を遠ざけることが、より必要になっています。
脳に刺激を与える要素には、次のものがあります。
・カフェイン:コーヒー、紅茶など。カフェインには脳を興奮させる作用があり、その効果が消滅す
るまでに7時間程度かかります。
・就寝直前までの勉強や仕事:勉強や仕事は脳を強く働かせるため、興奮させてしまいます。そのた
め、夜遅くまで仕事や勉強をすると、なかなか寝つくことができず、また浅い睡眠になってしまい
ます。
・強い光の刺激:スマートフォンやPC、TVの光は脳に強い刺激を与え、覚醒させてしまいます。
特に就寝1時間前からは、電源を切るか遠い場所に置くように工夫をしましょう。
・寝酒:アルコールは脳を麻痺させます。寝つくことはできますが、浅く質の低い睡眠になるため、
長い睡眠時間をとったとしても、疲労が回復されず、不眠症の状態になります。
特に、現代は、就寝前に布団やベッドの中でスマートフォンや携帯を操作している方が多いようです。この習慣は睡眠を阻害しますので、就寝1時間前からは操作しない様に習慣をつけましょう。
4:体に合った寝具を選ぶ
からだに合う寝具を利用することで、「睡眠時も快適な姿勢を保つことができ、深い睡眠を維持すること」ができます。
ベッドや布団を選ぶ際には、「快適な姿勢を保つことのできる反発力」と「寝返りをうてる十分な固さとスペース」を基準に選ぶと良いでしょう。
5:心地の良い睡眠環境にする
快適な睡眠環境に整えることで、「リラックスした状態で寝つき、睡眠し続けること」ができます。
「暑い」や「うるさい」といった刺激は、寝ている時にも体は受け取っています。特に、寝室環境のうち、室温、湿度、音、光の4つの要素について心地よい状態に整えることが、深い睡眠をとるために重要です。
・室温:就寝1時間前〜就寝後2時間は、夏場は26〜28℃、冬場は18〜23℃に室温を保つ
・湿度:50%前後に保つ
・音:図書館程度の静かさが必要。騒音やいびきなどでうるさい場合は、耳栓や厚手のカーテンなど
で対処すること。
・光:真っ暗な状態が理想。光が差し込む寝室環境では、アイマスクを利用して対処すると良い。
是非、現在のあなたの寝室環境をチェックし、上記の心地よい状態に近づけていって下さい。
6:不眠症に効くツボを刺激する
不眠症に効くツボを刺激することで、「血流を促進し、疲労回復、リラックス効果」を得ることができます。
ツボ1:百会(ひゃくえ)
ツボの場所 頭頂部の鼻の延長線と左右の耳を繋いだ線の交わる場所にある。
頭頂部の押すと少し柔らかい部分。
ツボの押し方 左右の手の中指を重ね、ツボの部分を抑える。両方の手で頭を支
えるような形をとり、少しずつ中指に圧力を加えていく。15秒押
したら1度離し、3〜4回繰り返す。
ツボ2:安眠(あんみん)
ツボの場所 耳の後部の骨の下の部分で、鎖骨から耳後部にかけて繋がって
いる筋肉が止まる場所。
ツボの押し方 刺激するツボの反対側の手で、頭の後ろから手を回して中指で
安眠のツボをおさえる。その後、15秒程度の感覚で3〜4回じ
わっと圧力を加える。
ツボ3:失眠(しつみん)
ツボの場所 足の裏の中央線と内外くるぶしを繋いだ線の交わる場所
ツボの押し方 手での刺激では弱いため、小さくて適度に固いものを用意して、
踏んで刺激を与える
ツボ4:攅竹(さんちく)
ツボの場所 眉頭の骨のくぼみがある場所
ツボの押し方 親指の平らな部分でツボを優しくおさえ、
上に持ち上げるように刺激を与える。
1回で5秒ほど刺激を与え、3~4回繰り返す
ツボ5:労宮(ろうきゅう)
ツボの場所 手の平の真ん中の場所
ツボの押し方 刺激する手の反対の手の親指で、揉みほぐす
様に刺激を与えていく。特に労宮を中心に周
辺部位にも刺激を与えると効果的。
ツボ6:湧泉(ゆうせん)
ツボの場所 足の裏の中央線の真ん中より少しつま先側のへこんだ部分
ツボの押し方 手での刺激では十分ではないため、適度に固い小さめの
ものを用意し、踏むようにして刺激を与える。
10秒ほどじわっと刺激を与え3回繰り返す
ツボ7:神門(しんもん)
ツボの場所 耳の最上部から下に下がった時にあたる縦の筋の中間地点
ツボの押し方 爪楊枝などの固くて細いものを用意し、痛みが出ない程度に
ピンポイントで刺激を与える
ツボ8:行間(こうかん)
ツボの場所 足の親指と人差し指の付け根で繋がっている部分
ツボの押し方 手の親指の腹の部分でツボを押さえ、3秒程度気持ちの良い
強さで刺激を与え、これを3回程度繰り返す。
ツボ9:隔兪(かくゆ)
ツボの場所 背中の第七胸椎の下部分から指二本分外側にある場所
ツボの押し方 刺激するツボの反対側の手で後ろから手を回し、親指の腹で外
側に押し出すように刺激を与える。
不眠症に効くツボ10:印堂(いんどう)
ツボの場所 眉と眉の中間地点
ツボの押し方 親指の腹で上下左右にかるく擦るようにして刺激する
ツボ11:太谿(たいけい)
ツボの場所 足の内くるぶしの後ろ側のくぼんでいる場所
ツボの押し方 手の親指の腹で気持ちよい程度に刺激を与える
ツボ12:内関(ないかん)
ツボの場所 手首の付け根から指三本分下にある場所
ツボの押し方 反対側の手の親指の腹で優しく刺激を与える
7:ヨガとストレッチを行う
就寝前にのんびりストレッチやヨガのポーズを行うことで、「自律神経を落ち着かせていき、リラックスした状態になる効果」が得られます。
特に、ヨガのポーズのうち「ハラ・アーサナ」と呼ばれる、鋤(スキ)のポーズが、自律神経を落ち着かせ、リラックスした状態に導く効果があると言われています。
就寝前の半身浴後などに、ヨガやストレッチをする習慣を取り入れ、快適な睡眠を得られるようにしましょう。
8:不眠症に効くサプリメントを利用する
不眠症に効くサプリメントを利用することで、「眠りを助けてくれる成分を摂取し、熟睡しやすくなる効果」が得られます。
また、サプリメントの成分には、気持ちを落ち着かせる効果や、自然な眠気を促す効果など、様々な効果があります。必要なサプリメントを理解し、からだに合うサプリメントを利用することで、不眠症に有効な効果を得ることができます。
サプリメント成分:1.ビタミンB1 疲労回復の作用
サプリメント成分:2.ビタミンB6 精神の安定作用
サプリメント成分:3.ビタミンB12 体内時計の調整の機能
サプリメント成分:4.GABA 精神の安定の効果
サプリメント成分:5.メラトニン 自然な眠気を促進する効果
サプリメント成分:6.トリプトファン メラトニンの原料
サプリメント成分:7.グリシン 眠気を促す効果
9:市販の睡眠改善薬を利用する
市販の睡眠改善薬を利用することで、どうしても眠れない夜に眠りにつくことができます。
しかし、市販の睡眠改善薬は、長期的・継続的な服用を考慮にいれて開発されておりません。また、眠気は促すものの睡眠の質を改善する効果はありません。
継続して利用していると、逆に日中の強い眠気などを引き起こしてしまう場合があります。
そのため、利用する際には、「どうしても眠れない時の緊急用アイテム」の位置づけで利用することが大切です。
10:睡眠薬を処方してもらう
睡眠薬を処方してもらうことで、「自然な眠気を促し、寝れない夜に睡眠を得ること」ができます。
しかし一方で、睡眠薬には副作用があり、医師の指示に基づく正しい用法用量を守らなければ、よりひどい不眠症の症状を引き起こしてしまう可能性もあります。
11:ホットミルクや温かいココアを飲む
就寝前にホットミルクやココアを飲むことで、リラックス効果を得ることができます。
牛乳のタンパク質は、消化されることで「オピオイドペプチド」という成分が生成されます。この成分に、自律神経を落ち着かせる効果があるため、ホットミルクやココアを就寝1時間前程度に飲むことで、あなたをリラックスした状態にしてくれます。
また、ホットミルクやココアを飲む時には、熱くない程度に温めて飲むことが大切です。あまりに熱すぎると、脳に刺激を与えてしまい、反対に眠れなくなってしまうので気をつけましょう。
12:眠りを誘うBGMをかける
睡眠用のBGMをかけることで、「リラックスした状態に導き、熟睡を促す効果」を得ることができます。
ここまで、不眠症を治療するための12の方法についてご紹介してきました。
また、早い段階で睡眠外来にかかり、不眠症の原因を特定することも、効果的な対処方法を行うために重要です。
不眠症を治療することで、本来の実力を発揮しながら毎日をハツラツと過ごしていくことができます。